「こころのワーク」のお手伝いをさせていただく者として、わたしがイメージしている自分の役割について、以下の「似ているようで違う」役割と比較してご説明したいと思います。
[stextbox id=”grey” float=”true” bgcolor=”eaf2de”]コーチ[/stextbox]
「コーチ」(Coach)はもとは四輪馬車を意味することばだったそうです。それに結び付けられた馬が、御者にコントロールされて、目的地に向かっていくところから、「コーチ」は学業やスポーツの指導者という意味で使われるようになったとか。最近、巷でよく耳にするようになった「コーチング」ということばも、「コーチされる人(クライアント)を目標達成に向かって導く」という意味ですね。これを写真のイメージにあてはめると、
- コーチ = 手綱をにぎっているシルクハットの紳士
- クライアント = 二頭の馬
といってもいいかもしれません。
しかし、わたしには、スポーツ選手のコーチのように「指導」することはできません。手綱を握っているのはわたしではなく、クライエントさんです。このたとえでいえば「馬」は、クライエントさんのリビドー、つまり「ご自身のエネルギーのすべて」です。このエネルギーには、眠っている部分もあれば、突然飛び出してあなたを混乱させる破壊的なものもあります。(それが無意識のエネルギーといえます。)クライエントさんがいかにこのエネルギー(馬)の野生の本能をうまく引き出しながら、しかしそれが決して暴走しないようにうまくコントロールしていくか、わたしの役割は、クライエントさんの隣に座って応援することです。つまり、写真のイメージを例にとれば、
- カウンセラー=御者のとなりにただ座っている、補佐役
ということになると思います。
[stextbox id=”grey” float=”true” bgcolor=”eaf2de”]メンター[/stextbox]
コーチングに似た感じの言葉にメンタリング(Mentaring)があります。「メンター (Mentor)」は、ギリシャ詩人、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場する老賢人「メントル」からきた言葉で、「信頼のおける助言者」という意味で使われます。このメンターが、メンティー(クライアント)と、継続的・定期的に交流し、信頼関係をつくりながら、メンティーの仕事や諸活動の支援および精神的・人間的な成長を支援することがメンタリングです。
わたしは「メンター」であるとも言えません。「メンター」には「年長者」とか「先輩」といった響きがあるからです。さきほどのたとえで言ったとおり、わたしは御者の隣に座っている補佐役にすぎず、わたしよりずっと人生経験の豊富な方や、年齢や社会的地位が上の方のお手伝いもさせていただいています。
[stextbox id=”grey” float=”true” bgcolor=”eaf2de”]シュリンク[/stextbox]
英語圏にお住まいの方でなくても、映画をよくご覧になる方は、「シュリンク(Shrink)」という言葉をご存知でしょう。精神科医や精神分析家を意味する俗語です。映画の中で「シュリンクに、こんなこと言われたんだよね。」などと時々出てきますが、シュリンクを訪ねるのは、「深刻な心の病をもった人」だけではありません。またアメリカでは、ステイタスのある人や金銭的に余裕がある人たちでなくても気軽に「My shrink」のところに話しに行くようです。わたしは、“シュリンク”かもしれませんが、一般的な精神科医の方たちと異なるのは、クライアントさんの数が、比較にならないほど少ないことでしょう。わたしが接しているのは、非常に限られた、ごくごく少数の方たちです。ご縁のあった方と、狭く、深いおつきあいをさせていただいています。わたしにとってクライエントさんは、”one of them”ではないのです。
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