うつ病は、「こころの風邪」と呼ばれることがありますが、そこには、「誰でもかかる可能性のある」、「きわめて、かかりやすい病」という意味がこめられています。
誰でもかかるものの、とくに、まじめで几帳面な人、責任感が強い人、仕事熱心な人がかかりやすいと言われています。
ベストセラーになったコミックエッセイ、「ツレがうつになりまして」(細川 貂々著、幻冬舎・通称“ツレうつ”。2006年に出版後されたあと大反響を呼び、2009年にはNHKが藤原紀香主演でドラマ化、2011年には映画化もされた。)では、作者が、うつ病に対して、「精神的に弱い人がなる」というイメージを持っていたところに、ある朝、「スーパーサラリーマン」だった、精神的に強くて、自分よりずっと明るい性格の自分の夫(ツレ)が「死にたい」と真顔で言い出し、病院でうつ病と診断されたという実話が描かれていますが、ふだんのあり方からすると、うつなどとは無縁に見える人が、うつになることは少なくありません。
うつ病の症状は、精神面、身体面の両方に現れるものですが、うつ病の一種には、うつ病に特徴的な症状である憂うつな気分が見られず、めまい、頭痛、肩こり・・・といった、身体の不調の症状だけが前面に出てくるため「体の病気」という「仮面」をつけたうつ病ということで通称「仮面うつ病」と呼ばれるものもあります。
身内が亡くなったり、離婚や失業、病気、事故、その他、環境の大きな変化などがきっかけで、うつ病になることもありますが、マイホームの購入や、出産、昇進などといった、一見、喜ばしい出来事がきっかけで、うつになってしまうこともあります。
「うつ病」という診断名は、以下の場合につけられます。(DSM-IV-TR診断基準による)
● 抑うつ気分、あるいは、興味や喜びの喪失感があり、
● さらに、1)食欲減退、または過食、2)不眠、または過眠、3)気力の低下、または疲労、4)自尊心の低下、5)集中力低下、または決断困難、6)絶望感のうちの複数に該当し、
● その症状が2週間の間、ほぼ毎日生じる。
ツレうつ三部作
ツレうつNHKドラマ
ツレうつ映画版
※この記事は、ストックホルム日本人会会報2012年夏号に掲載されたものです。